23日放送のNHKドキュメンタリー SFリアル「#2 アトムと暮らす日」の録画を見る。
テーマは「ロボットとの生活」。
女性ロボット研究者が最先端の人型ロボットと半年間を過ごした姿を追ったもの。
ロボットは、Aldebaran Robotics社により開発されたNao。多言語による会話ができ、カメラやセンサーが組み込まれ、動作も踊りやサッカーができる程の能力を持っている。
研究者がロボットと一緒に生活しはじめ、ゲームをしようというロボットとの会話の中で2つのゲームしか知らないというロボットを前に、ゲームアプリケーションのダウンロードが必要になる。会話、動作など基本的にはアプリケーションの追加によってどんどん成長させることができるというしくみ。
数ヶ月暮らした後、ロボットのメモリーがクリアされるという事故が発生し、それにより女性研究者は少なからぬ喪失感を味わう。しかし、そこはロボットと割り切り、また一から協同生活を始めるのだった。女性には婚約者がおり、当初はロボットにあまり興味をしまさなかった彼も時間が経つに連れて、ロボットの座っている下を掃除してやったりと何かと面倒をみるようになっていく。
欧米での人型ロボットに対するイメージはデモーニッシュなイメージがある。
フランケンシュタインもそうであるし、アシモフ原作の映画「i,robot」などもそれを象徴している。一方、先のAldebaran Robotics社のロボット開発のイメージの中にはアニメーション「鉄腕アトム」のイメージが入っているようで、人に対してフレンドリーな存在としてのロボットがある。ロボットに対するイメージも変わりつつあるのかもしれない。
そうした流れを見据えたように、最新の人型のロボットは、表情、動作などより人間に近い機能を持つように進化しているという。
私が、感心したのは最新のロボット技術の進化による、より人間の表情や仕草に近いロボットではなく、機能が足りなくても、それを補い、こちらから近づき親近感を覚え、コミュニケーションをとろうとする人間の能力だ。何がそうさせるのか。
人は、薄汚れた”ぬいぐるみ”とでもコミュニケーションすることができるのだ。
1999年11月 (株)メディアファクトリー発行